ユーライ

ガメラ2 レギオン襲来のユーライのレビュー・感想・評価

ガメラ2 レギオン襲来(1996年製作の映画)
5.0
前作は王道の復活を目指したら必然的にリアリズムに徹した作風になったが、今作はその方針をより突き詰め、一見さんの入りづらいハードコアな侵略SF映画となった。出てくる人達が皆博識な理系っぷり。「怪獣映画は戦争映画のメタファー」という思惑の元、「ご無事で」等のテンプレを用意し、差し引きならない壊滅の危機を前に立ち向かっていく勇壮さ、悲壮さ。利根川を防衛線とした最終決戦では、本部と現場を淡々とカットバックすることでむしろ凄絶さが際立っている。その只中において、確かに生きている人々の生活感のある描写が巧み。対比して有事の前の緊迫感を煽る。特に銭湯での子供とお兄ちゃんのやり取りが好き。ヒロインである穂波もちょっとした不思議ちゃんな立ち振舞いで長峰と差別化出来ている。「地球のタガが外れた」という台詞があるが、当時の観客としては否応にも連想したであろう地下鉄での惨事は、強い同時代性を感じさせもする。世界が滅ぶかも知れない切迫感は、次作でより全面的に展開されることとなる。最後の見せ場を腹空け元気玉で持っていくのは唐突にも思えるが、これもフリか。現代を舞台にした怪獣映画としてやれるだけのことはやった結果、間を置いて明後日に向かう『3』となる。
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