半変人のお調子者

レイジング・ケインの半変人のお調子者のレビュー・感想・評価

レイジング・ケイン(1992年製作の映画)
4.5
テーマが多重人格だったり、途中、証拠隠滅の為に車を沼に沈めたり、完全にヒッチコックの『サイコ』なんだけど、自分なりの工夫をちゃんと加えているのがデ・パルマ監督らしい。

今作の見所はやはりジョン・リスゴーの演技。心弱い男カーター、凶暴な男ケイン、7歳半の男の子ジョッシュ、謎の女マーゴ、の4人格を持つ多重人格者。そして彼らを支配する父親と1人5役を見事に演じ分けている。邪悪な顔でニヤついたかと思えば、子供のように泣き喚く。本当にとても同じ人には見えない。

クライマックスはアンタッチャブルばりの視線が交錯し合うスローモーションシーン。
それぞれの人がどこにいて、何を見ているか、実に分かりやすいし、そこで出てくる"危険な物"がしっかり前フリされてるから、何かが起きてしまう予感がずーっと続いて緊張感が途切れない。

あと奥さんを起こしたジョン・リスゴーがずっと枕を持って移動しているのが、アンタッチャブルでアルカポネがバットを持ってテーブルの周りを歩くシーンのようで、いつ襲いかかるか分からない非常にひりつく場面だった。

度々挟み込まれるびっくり演出が本当に怖い。
この映画のびっくりポイントは、ジャックの奥さんの顔とかカメラの映像とか、実は誰かに見られているという事が分かる瞬間ばかりで、人に見られているのではないかなんて時々思ってしまう自分にとっては怖すぎるショック演出だった。

最後とか…もう本当勘弁してください…

映画評価基準

この映画が好きか 8
没入感 10
脚本 9
演出 10
映像 9
キャスト 10
音楽 8
余韻 10
おすすめ度 8
何度も観たくなるか 8

計90点