半変人のお調子者

猿の惑星:創世記(ジェネシス)の半変人のお調子者のレビュー・感想・評価

4.3
今まで観てきたシリーズ作品の中で一番好き。
猿が賢くなった理由や人類文明が衰退した理由が前シリーズと違って、少し戸惑う部分はあったけど、ちゃんと人類の自滅によって文明が滅び、猿の惑星になっていくというプロセスは踏襲されているから、全然ありだと思う。
「アルツハイマー治療の研究により動物の知能が発達」と言われると『ディープ・ブルー』か!?と思ってしまうけど笑

ジョン・リスゴーの認知症演技の哀愁が凄くて…
自分がとある事をやらかした影響で、シーザーが更にとんでもない事をやらかしてしまって、二人で抱き合う所とか、もう辛すぎるよ…

その後の霊長類保護施設の横暴っぷりがまた凄い。
マルフォイがまだ可愛く見えるレベルの嫌な奴を完璧に演じ切るトム・フェルトン。餌やりも放水も電撃も全部最悪!チンパンジーって暴れたらめっちゃ怖いのによくそんな事できるなぁ…笑

そんな施設に入れられたシーザーが檻の中で壁に描く物がまた切ないし、それを最終的に消す所も辛い。でもその行動はシーザーが遂に人間界を捨て、エイプとして生きていく事を決断する事の表れだから、心情表現としてめちゃくちゃ上手いなぁと思った。言葉が無いのに、手に取るようにシーザーの引き裂かれるような思いが伝わってくる。

そして終盤に差し掛かる所で、前半ずっと手話を使っていたシーザーが遂に…という場面は問答無用で上がった。しかもその大事な一言は前シリーズの『征服』と『最後』でも重要な使い方をされていた言葉で、そう来るか!!と二重に上がる。

そこからのエイプ大行進。
ゴリラとオランウータンの協力プレイとか、囚われた仲間を武器を使って助け出すエイプ達とか、もう最高すぎ。
完全にエイプ側の気持ちで観てるから、ゴリラが撃たれちゃう所とか声漏れちゃった。シーザーの腹心としてこれからもいてほしかった…

あのパイロットのおっちゃんちょくちょく出てきてなんかあるのか?と思ってたら、最後の最後で凄く重要な役だった事が分かるという…
とりあえず1作目だし、サンフランシスコという一都市が舞台の局所的な話で終わりと見せかけて、エンドロールで取り返しのつかない事態が…
猿の惑星お約束の衝撃オチの中でも、結構とんでもない終わり方だと思う。これ次どうなってんだろ…

ウィル、最後までシーザーの事を守ろうとしてたから良い奴感漂わせてるけど、結果こいつが一番やばい奴になってしまったなぁ。
まぁ父親の為とはいえ、薬盗んでそれを父に投与して人体実験みたいな事をした時点でえっこいつやばくね?とは思ったけど、最終的に人類文明を滅ぼす一端を担ってしまった…
その自責の念は計り知れない…

映画評価基準

この映画が好きか 8
没入感 9
脚本 8
演出 10
映像 9
キャスト 10
音楽 8
余韻 9
おすすめ度 8
何度も観たくなるか 8

計87点