NARITOMO

パーフェクト・センスのNARITOMOのネタバレレビュー・内容・結末

パーフェクト・センス(2011年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

劇中で、原因不明の病気によって人間の感覚が消えていくと並行し、見ているこちらは全身の感覚がどんどん研ぎ澄まされていくというか、今の感覚のありがたさと、当たり前であるこの感覚を改めて考え直してそれが無くなってしまったときの状況を今の自分の生活、住んでいる場所でのシチュエーションを考えると想像力がものすごく掻き立てられる作品でした。

ハプニング、ホラー映画のような騒がしいものではなく、この映画のようになす術なくただただ静かに滅亡していくであろう人生を想像して、なぜか落ち着いた心境でその状況を納得してしまうような、不思議な落ち着きがこの映画にはあるんだけど、これがまたクセになってしまう。


といっても、この映画の重要な要素として人間が求め合うお互いの【愛】であって、よくありげな要素にはなってしまうのだけど、この2人の愛を描くための素材として【段階を踏んで人間の五感が消え去る謎の伝染病】が必要となっていて、その中で相手を求める主人公の姿が私にとってすごく綺麗に見えてしまうんですよねm(__)m


大学で学んだものの1つ
人間の感覚、とりわけ身体表現や肉体が感じ得る感覚を一部分ごとに焦点を当てて学ぶことに、生と性の関係をなんとなく感じ取っていた私にとって、この映画で描かれるある2人の性と生の物語は割と身近ですごいリアルでいて同時に落ち着いた人間の
姿に感じるのです。

面白い要素として、発症前に悲しみ、憎しみ、怒りとうの感情が爆発し、その直後に五感の1つが失われていくというシステムと、シェフである主人公がその状況でもお店を続けるために模索した方法が理にかなっているような気がして、そんな姿に生きていく上での色んなヒントやセンセーションを感じないではいられない作品に感じるわけでした。

書くと難しくなってしまうけど、本物だといえる愛を静かに滅びゆく環境で見つける男女2人の姿はいつだって綺麗なものに見えるんじゃないかっていうある法則をここに見つけたのでございます。
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