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RIZE ライズのspe1111のネタバレレビュー・内容・結末

RIZE ライズ(2005年製作の映画)
4.4

このレビューはネタバレを含みます

クランプというダンスは、トミー・ザ・クラウンがピエロの格好になり街中を踊り回り、それを若者たちが真似することにより広がったダンス。L.A.のもっともヤバイ地域で流行したこのダンスは、ダンスというより戦っているかのよう。一見殴り合いをしているのか?と思わせるくらい相手を吹き飛ばしたり、かなり攻撃的に踊るダンスで、その激しさゆえに、冒頭の「 早送りしていません」がさらに驚きを増幅させる。またこのダンスを通じてトミーが成した功績が素晴らしくて、麻薬の売人になるか、銃で撃たれて死ぬかそんな希望がない若者たちをダンスへと情熱を傾けることにより、結果若者たちが救われている。若者たちもクランプによってダンスで日々の葛藤や怒りを表現し、それが新しいスタイルを生み出して、まさにクランプはアートと本人達が言ったように非常にクリエイティブなものになっている。ダンスをする前に、化粧をして踊る姿は狩りの前に行う儀式のようで黒人のルーツに響くダンスでもあり、それを重ね合わせた映像の構成も素晴らしい。なにより、最後の方に、スローモーションで青空の下、ダンスを踊っている黒人男性、女性はそのほとばしる水しぶき、肉体美だけでひとつの芸術かのようでとても美しい。クランプというダンスを最大限に伝えた、素晴らしい映画だと思う。
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