プペ

レナードの朝のプペのレビュー・感想・評価

レナードの朝(1990年製作の映画)
3.3
「生かす」というのは、非常に難しい問題だと思う。
なぜなら「生きる」とは元来、主体的な問題だからである。

「生きる」という倫理には、結局のところ普遍的な結論というのは有り得ず、″道徳″という道筋や、″常識″という枷でそれを推し量ることはできない。
ただ、人間というのが常に他者との関係性によって成り立つ社会的な自我そのものであること、それ故、人間の抜け殻である身体が果たして″人間としての価値″を有するのか、という素朴な、ある意味哲学的な疑問を誰もが拭い去れないのである。
そういった潜在的な妥当がこの映画を感動的にしている要因であると思う。


レナードが眠りから覚めるシーン。
その輝きと、喜び。
生きることの素晴らしさへの訴え。
一体これは誰の意思なのか、一瞬、疑念が湧く。

確かに人嫌いの医師とレナードの対比は作為的に感じるし、展開があまりにも予定調和すぎるような気がしないでもない。
ただ、私はこの映画を素直に捉えたい。
この映画が見せる「生きる」という問いかけを私は真摯に受け止めたい。
彼が「生きたい」のかどうかは私には分からない。
ただ、私は「生きる」のである。
その主体的な有り様、実はロビン・ウィリアムス演じる医師に投影されているところの、生きていくことの素直な有り様を深く考えさせる、そういう映画として私は評価したいと思う。
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