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レナードの朝のKKのレビュー・感想・評価

レナードの朝(1990年製作の映画)
4.3
名作
本当に出会えて良かったと思える作品

まずは、レナード役のロバート・デ・ニーロとセイヤー医師のロビン・ウィリアムズの2人の演技には言葉が出ない。完璧に見入ってしまった。

L-ドパを投与することによってレナード達の病状は回復する。数十年間眠っていた人間が目を覚ます。いったいどんな心情なのか、きっと自分には想像もできないだろう。そして、再び病状が悪化する恐怖も。

夢から覚めた短い時間でレナード達は「生」の喜びを実感する。生きて、健康であることがどれほど幸せなことかを気付かされる。

セイヤー医師がレナードが副作用に苦しんでいることを知りながらも他にどうすることもできず、悩みながら薬の量を増やしていく姿には辛い感情になった。

薬学生としては、セイヤー医師の治療方法は現在では非常に問題があると感じた。原因も薬がどのように効くのか、どんな副作用があるのか、全くわからない状態であるとはいえ、人体実験のような、無造作に薬の量を増やしていくのはレナード達患者にとってはいたたまれない気持ちになる。
しかし、そのような歴史があったからこそ医学が進歩していることも否定できない。

患者を1度治して希望を与えてから再び症状が現れる。新薬を投与することで、患者、そしてその家族にどんな影響がでるのか。作用も分からない新薬を投与することは正しいのか。答えは出ないかもしれないが、悩みながら闘っていくしかない。そんなラストにも思えた。
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