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切腹のilのレビュー・感想・評価

切腹(1962年製作の映画)
3.4

62年公開。
侍タイムスリッパーが開いたかもしれない時代劇への興味の余波がここにも。

綺麗な建築美、構図、組織的動作、所作。

善悪の判断がゴロゴロと立ち替わり、
その二元論の先、
問答無用のチャンバラという大立ち回りのカオスまで見せ、
全てが終わったときに残る虚偽の歴史。

時の強者によって綴られた歴史に何の意味があろうか。

人情話、その上の理、
そしてそれさえ打ち負かす狂乱。

全ては時勢に翻弄された人間の生きざまに他ならず、スカッとする訳でも、ドロッとしたわけでもなく、何がもたらされたというのか。

重厚な死生観とギリギリの生によって、なされた問いかけ。

ひたすら絵になる十字剣法(これは合理的剣法なのだろうか?んなわけないか)

強者に蓋をされていく物語の中にこそ、
正しさが隠されているのかもしれない。

ないけど、ワンピースのワノクニ編であってもおかしくないエピソード。似たような骨子の話は絶対ある。
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