Kuroita

フェリーニのアマルコルドのKuroitaのレビュー・感想・評価

フェリーニのアマルコルド(1974年製作の映画)
5.0
何回も観たい。
なんだろう、うまく言葉にできるかな。
人間万華鏡みたいな世界を覗いた気分だった。綿毛の季節から夏秋、大雪の降る冬に通り雨の中を人間達が動いている。
今も昔もわたしたちが外界に振り回されているのは変わらないのだけど、その振り回されている人たちが、この映画の中では可笑しくかわいく愛おしくそしてなぜか哀しくあっけらかんとしているのは何故か。
まるで昭和の小津の世界みたいに、みんなが外界に振り回されていながらも、葉脈のように一枚の葉っぱを形成しているような感覚だった。
今は葉脈は途切れ途切れで、個が目立つ。
個よりも集だった時代ののどかさに目を細めて見入ってしまった。
生も死も詩みたいに同等に扱っているところも好きだった。

正常と異常の境界線。
わたしたちの中にある両者。
Kuroita

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