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エヴァの匂いのpikaのレビュー・感想・評価

エヴァの匂い(1962年製作の映画)
3.5
キモいー!ジャンヌ・モローの悪女っぷりがどうのって評判だけど、作家の傲慢な成金っぷりがキモすぎてジャンヌ・モローがファムファタールどころかダークヒーローに見える!笑
やれやれ!いてまえ!ざまあぁぁあww!いや、待て!なんでそっちがー!

ワンシーンワンカットと思ってしまいそうなほど印象深い長回しが良い!クルクルと部屋を回っては鏡やドアを使って様々な緩急をつける。ジャンヌ・モローの一連の動作をこれでもかと捉えるから「なぜファムファタール?」という疑問への強烈なアンサーになる。これを体現しきったジャンヌ・モローは素晴らしい。
とにかくムードが良い映画で、絵画や彫刻、独特な音楽が映画に様々な表情を与えていたり、ロングショットからクローズアップ、左右に流れたり画面の中も多様に動いて常に何かが流動していたりと見てるだけで面白いという特有さ。
ベラベラと億面なく喋り続ける作家と寡黙なジャンヌ・モローの格の違いっぷりが麗しい。甲高い笑い声と嫌味な目線、破天荒な仕草と気怠い行動が凛とした妖艶さを演出している。

全ては自分の決断、己の責任と言わんばかりな冷徹さが強烈。エヴァが魅力的なのは己の力で自分の価値を作り出しているからだろうか。対比のように表れるフランチェスカは、若く美しく有能で純粋なほど誠実である。彼女も彼女なりに努力してきたであろうが、エヴァから見れば恵まれている小娘に見えたのか、哀れな女に見えたのか。堕ちて行く作家は誰の目にも自業自得に見えるが、抱えた罪の重さがざまぁぁwwだけで終わらせない後味を生んでる。
欲望の追いかけっこ。天賦の才ある者は純粋なまま、欲に呑まれた者はそれ以外を享受できぬのか。作家がエヴァに何度も「同類だ』と言うように同族嫌悪なのか。鏡が多用されている意図。
フランチェスカに恋した男は結局何もしないけど妙に印象に残る。
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