このレビューはネタバレを含みます
黒沢清監督『蛇の道』の続編。
あの新島は生きる意味を失くしていた。
旧友だと名乗る男の会社にヘッドハンティングされ、言われるがままハンコ押しマシーンとなるのだが、いつのまにか無軌道な暴力行為に手を染めてゆくこととなる。。
蛇の道よりももっとナンセンスで不条理。
言われていると思うけど、北野武監督の初期作を観ているような感覚があった。
なんでこんなシーン?っていう笑いに転じそうなシーンが長めにあるのに、ある結果に対しての説明シーンはまるでなかったり、バイオレンスが突発的な行為でしかなかったりする。
そして映画のワンシーンとしてとても印象深い場面が多い。
逃げる女を銃で撃ちながらやたら投石する。
それは頭にあたり、女が振り返ると顔面血だらけになっている。新島は無表情でね。
ここすごい。笑と恐怖のバランスで。
娘の亡霊が見えるシーン。
新島は狂っていないように見える。でも娘の亡霊を見てしまった新島は狂っていないと言えるのか。
大杉漣、菅田俊のキャラクターはナンセンス過ぎて強烈。
タクシーで延々追っかけてきたり、逆走したり…オレを捕まえてみろ、なんて追っかけっこ始めたり。
序盤、遺体を埋めようとする新島。遠くに白い布を被せられたものが直立している。
てっきり殺った遺体だと思っていたけど…
ラストカット、また穴と白い布の直立不動のものが登場して何ものかわかるという。
余りにもシュールなシーンだった。