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蜘蛛の瞳/修羅の狼 蜘蛛の瞳のzukkiのネタバレレビュー・内容・結末

3.8

このレビューはネタバレを含みます

途轍もなく不思議な映画。『蛇の道』の続編だと思わないで観た方が良さそうだった。

映画における出来事の省略の限界、シーンの無感情さの限界に挑みながらも、案外『消えない傷痕』よりもエモーショナルな言葉を発するシーンも存在する。行間にある、各人の感情に集中・推測しながら、その後の行動指針の変更を注視すると、面白い作品なのだろうと思う。

最近観た『不気味なものの肌に触れる』と、物事の描き方が似ていた。各カットの面白み、俳優の動作の面白みに特化した作りで、ストーリーは至極あっさりとしている。大杉漣氏が車から身を乗り出して話すシーン、路上にて4名で一斉にターゲットを撃ち殺すシーンなど良かった。

『消えない傷痕』ほど、復讐が生活に影響を与えていないが、今度は"娘"という脅威が現れ、回復してきていた家庭に崩壊の兆しが現れたのが、辛い。

新島にとって、化石掘りの男は、回復の一助になっていたのではとも思った。だからこそ、決めきれなかった岩松の殺害を、すっぱり決めてしまったのでは、と。訳の分からない世界に身を置きながらも、どうにか回復したはずの新島が、再び暗い道へと入っていく、そんな予感もある。
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