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リリーのすべてのzukkiのネタバレレビュー・内容・結末

リリーのすべて(2015年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

エディ・レッドメインのミクロなレベルの繊細さで動き出す物語。それを捉える被写界深度の非常に浅いレンズがよく合っていた。

妻が序盤で別離せず、むしろリリーになることを肯定し、楽しみ、更には彼女の絵を描いて大成するからこそ、ますます二人に訪れる展開の残酷さが際立つ。しかしそれを超えた先に、本来そっくりな二人が、本当に心通じていたのでは、と思わせられる最期のやり取りがあった。

西洋画を意識したカットが所々に見られた。ハンマースホイなど。当時のデンマーク/フランスの世界観は、落ち着きながらも綺麗な色味で表されるが、その中でもリリーの赤髪が最も良く輝いていた。

音楽、切り替わりの激しいカット割りについては、もう少し何とかならなかったものかと思う。だが、その難点も掻き消す程、エディ・レッドメインの演技の説得力、繊細さ、演技という偽物によって、リリーという偽りが真になっていく様、その何もかもが最高レベルだった。見る価値は大いにあった。
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