Kuuta

コンタクトのKuutaのレビュー・感想・評価

コンタクト(1997年製作の映画)
3.5
コンタクトに成功するまでの描写が上手い。スピーディーにキャラ説明を進めつつ伏線を張り巡らせて、後半に回収しまくる。ゼメキス映画の構成の妙。あと冒頭の鏡のシーン、久しぶりに映像見て「えっ?」ってなった。

亡き父に向かって、帰って来るはずのない言葉を投げ続ける。ここに彼女の活動の根本がある。神を信じず、肉親も失った孤独の中で真理を求める。広大な大地に佇むシーンが印象的(崖に座る=此岸と彼岸の境界)。後半に内的な宇宙=心の話に展開していくのも、こうした積み重ねがあってこそ。

研究場面や最後の審問がちゃんと面白く、主役にゴリゴリの研究者を持って来た試みは成功していると思う。宗教に口だけの理解を示した科学者の末路も皮肉が効いている。純粋だけど社会から少しズレていて、どこか孤独を湛えている主人公にジョディ・フォスターがハマっていた。

宗教vs科学の対立=アメリカ社会の混乱、という設定は使い古された感があるし、薄っぺらさの残るマシュー・マコノヒーの宗教家、取って付けた様な恋愛要素、いちいち目配せしてくる記念塔やホワイトハウス…これらはどれもハリウッド大作ならではのご愛嬌という感じで見られた。

ただ、リアルめなSFを貫いているだけに、終盤の日本描写の浮きっぷりは非常に残念。この間だけ本当に夢みてたんじゃないのってくらいのB級感。それまでの硬派なトーンを崩してしまっており興を削がれた。また、トリップシーンがジョディ・フォスターの顔アップばっかりで、宇宙の様子がもっと見たかった。コンパスとかどうでもいいよ!という。

最後は案外ミニマルな結論。そもそも彼女の目から物語が始まっているわけで、納得感はある。ただ、この結論に落ち着けるのなら、ここまでドタバタと風呂敷を広げる必要ないし、色々詰め込み過ぎという指摘もよく分かる。

あと、最後の記録映像のくだり、もしハッピーエンドを匂わせる意図があるなら、この話のメッセージ上全くもって不要。「主人公の心の中にだけ存在する」で良いのに。

基本型を受け継ぎつつ随所の甘さを改善したのがインターステラーやメッセージ、という見方も出来るのでは。70点。
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