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1916年4月5日は、アメリカの俳優グレゴリー・ペックの誕生日です🎂
その代表作である『アラバマ物語』を鑑賞しました
本作は、ハーパー・リーのピューリッツァー賞受賞作『ものまね鳥を殺すこと(原題:To Kill a Mockingbird)』を原作に、ホートン・フートが脚本を手がけ、ロバート・マリガンが監督を務めた作品です
舞台は1930年代、アラバマ州の田舎町メイカム
この町で暮らすフィンチ一家の3年間を、娘スカウトの目線を通して描いています
ジーン・ルイーズ“スカウト”・フィンチ(メアリー・バダム)は6歳の元気な女の子で、兄のジェム(フィリップ・アルフォード)やその友人ディル(ジョン・メグナ)と、毎日楽しく遊びまわっています
近所には、精神を病んでいると言われ、家に閉じこもったままの青年ブー・ラドリー(ロバート・デュバル)が住んでおり、子どもたちは彼に強い好奇心と恐れを抱いています
父親のアティカス・フィンチ(グレゴリー・ペック)は弁護士で、穏やかで誠実な人格の持ち主です
町の人々からも信頼されていましたが、ある日、白人の少女に暴行したとされる黒人青年トム・ロビンソン(ブロック・ピーターズ)の弁護を引き受けることになります…
人種差別が残るアラバマで正義感の弁護士が黒人の事件を担当する
差別や偏見と闘い、真実を追う弁護士の姿を描く社会派ドラマです
ジェムとスカウトの子どもたちの視点からみた父の姿、偏見の中で行われる裁判、差別する大人たち、子どもたちの目にどのように写ったのでしょうか…
人種差別が色濃く残る時代において、正義と向き合うアティカスの姿は、社会の偏見と闘う勇気ある人間として描かれています
物語は、子どもたちの純粋な視点から描かれています
父アティカスが黒人を弁護したことで非難される中、スカウトはその状況をまっすぐな心で見つめ、静かに受け止めていきます
また、ブー・ラドリーとの心の交流を通じて、見た目や噂だけで人を判断してはいけないという、優しさと気づきの瞬間が描かれていきます
裁判では、スカウトたちは黒人席で黒人たちと共に傍聴し、その姿からは、まだ偏見に染まっていないまっすぐな目線が感じられます
アティカスの誠実な弁護が届かないという、厳しく悲しい現実に直面する場面では、正しさだけでは通らない世の中の不条理を見せつけられるようで、胸が苦しくなります
正しい行動が報われるような因果応報の結末へ物語はすすみますが何か、心にひっかかるようなすっきりしない思いがします
大人になったスカウトが語るナレーションには、子ども時代の気づきが今も心の中に残っていることが感じられ、見る人の胸にも静かに残ります
この作品が描く人種差別の問題は、子どもの視点を通すことで、より鮮明に、そして痛切に私たちに届いてくるように感じました
そして何より、アティカスを演じたグレゴリー・ペックの存在感が圧倒的です
父としての包容力、公正な弁護士としての信念、そして不正に立ち向かう姿勢が静かな感動を呼びます
こんなお父さんがいたらいいな、と素直に思わせてくれる温かな人物像でした
人種差別という重いテーマを軸に子どもの目に映る大人の世界や人とのふれあいを、ノスタルジーと優しさをもって描いた珠玉の名作です🐦⬛