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『戦場のピアニスト』——心に深く響く音の記憶
1973年4月14日は、アメリカの俳優エイドリアン・ブロディの誕生日です🎹
彼の代表作である『戦場のピアニスト』を鑑賞しました
本作の監督はロマン・ポランスキー監督が務めています
自身もホロコーストを生き延びた経験を持ち、ポーランドの痛ましい歴史を映像化したいという強い思いから生まれた作品です
舞台は1930年代後半、ポーランド・ワルシャワ
ユダヤ人であるウワディスワフ・シュピルマン(エイドリアン・ブロディ)は、才能あふれるピアニストとして活躍していました
しかし、1939年9月、第二次世界大戦の勃発と共にナチス・ドイツがポーランドへ侵攻し、彼の平穏な日常は一変します
ラジオ局でピアノを録音中、突然の爆撃によりスタジオは破壊され、彼の人生は戦争に翻弄されていきます
そんな中、友人ユーレク(ミハウ・ジェブロフスキー)の妹ドロタ(エミリア・フォックス)と出会い、つかの間の友情が芽生えますが、戦局は悪化の一途をたどり、ユダヤ人の生活は次第に追い詰められていきます…
本作は、実在したピアニスト・シュピルマンの自伝を基に描かれた戦争ドラマです
家族と共に音楽に囲まれ、穏やかに暮らしていた彼の生活は、戦争の波に呑まれ、過酷な現実へと引き裂かれていきます
ナチス・ドイツによるユダヤ人への迫害は、数多くの作品で描かれてきましたが、本作のリアリズムには息をのむほどの衝撃がありました
ゲットーに閉じ込められ、食料も薬も奪われ、強制労働を強いられる人々
ただユダヤ人という理由だけで命を奪われる理不尽さ
家畜のように列車へ詰め込まれ、絶滅収容所へと送られていく——そのすべてが史実であることに、胸が締めつけられる思いでした
シュピルマンは協力者の助けを得て逃げ延びますが、次第に周囲の人々も犠牲となり、やがて孤独と恐怖の中、飢えと戦う日々が始まります
感情さえも麻痺してしまうような極限の生活
ただ1日、また1日と、生き延びることだけが彼のすべてになっていきます
彼の目から生気が失われていく姿に、戦争が人間からすべてを奪っていくことを痛感しました
そんな彼の前に現れたのが、ドイツ軍将校ヴィルム・ホーゼンフェルト(トーマス・クレッチマン)でした
敵であるはずの彼が、シュピルマンを一人の人間として扱い、ライ麦パンとジャム、そして缶切りまで差し出す姿に、涙があふれてしまいました。
缶切りはシュピルマンが缶詰を手にしていたため届けられたもの、彼の優しさが伝わります
そして、シュピルマンが久しぶりに奏でたピアノの音
その演奏は、魂の叫びのように、静かで力強く、心を震わせました
音楽には国境も敵味方もなく、ただまっすぐに人の心へ届くものなのだと深く感じました
その想いは、敵将校ホーゼンフェルトの心にも確かに届いていたように思います
エイドリアン・ブロディの演技は圧巻でした
まるで本物のピアニストのような繊細な演奏、そして10キロ以上も体重を落として役に挑んだ姿勢から、シュピルマンという人物に真摯に向き合った努力が伝わってきます
物語の終盤、瓦礫の街を歩く姿に、思わず涙がこぼれました
かつて人々が暮らし、音楽が響いていた場所が、無残に破壊されてしまったその現実
それでも、最後に残ったのは「音楽」でした
『戦場のピアニスト』は、戦争の残酷さと同時に、人間の尊厳、そして音楽の力を静かに、しかし確かに語りかけてくる作品です
観終えたあとも、あのピアノの音が胸の奥で鳴り続けているような、そんな余韻が残りました
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