ゆず

太陽はひとりぼっちのゆずのレビュー・感想・評価

太陽はひとりぼっち(1962年製作の映画)
4.5
「愛の不毛」三部作というだけあって、一筋縄ではいかない恋愛ドラマ。私にはちょっと難しくて途中ウトウトしてしまった。そして例のラストでナンダコリャとなったのだが、他の人の感想見てもラストについてはそんな感じなので、私が寝たせいで難解なわけではないようだ。

アラン・ドロン目当てで見たけど、主人公はモニカ・ヴィッティの方だった感じ。もうとにかく彼女の醸し出す倦怠感がずっと画面を占めていて、見てるこっちまで気だるくなってくる。
対照的に、アラン・ドロン演じる証券マンは外へ外へと発散するタイプの性格。新しい恋愛に積極的なのは彼の方で、夜、高級車で彼女の家に乗り付けたりする。

そんな二人が親密になっていく過程を描いているのだが、なにしろ本作は「愛の不毛」三部作のひとつ、イチャコラしてる最中ですら虚しさが漂っている。
前半では株が暴落して大混乱になるし、アラン・ドロンの高級車も無惨な最期を迎える。そんな風に、本作には資本主義社会の虚しさについての描写がある。
それらとモニカ・ヴィッティの倦怠感や空虚な内心をどう結びつければよいかは分からないが、アント二オーニ監督はなんとかして結びつけた。
資本主義社会がいつ崩れ去るとも知れない不毛な経済活動ならば、そこで育まれる愛もまた不毛なのだろうか。だからモニカ・ヴィッティはすべてを諦観するような顔をし、株券は紙クズになり、高級車はスクラップになるのである。ちょっと自分でも何言ってるか分からないけど。

お母さん、株は損することもあるのよ!
ゆず

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