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人工の夜景のadeamのレビュー・感想・評価

人工の夜景(1979年製作の映画)
3.0
ストップモーションアニメの世界でその名を知られる双子の映像作家ブラザーズ・クエイのデビュー作。
ストーリー性はほぼなく、路面電車に思いを馳せる男を描いた人形劇です。
人気のない夜の街を誰も乗らない路面電車が滑るようにゆっくりと走り抜ける様は幻想的で、夢想する気持ちに共感できました。
画面の多くを占める暗闇が陰鬱な雰囲気を作り出すと共に、この閉塞的な世界がどこまでも続いていそうな感覚を与えるのも良かったです。
何度も挿入される詩的な小見出しは分かるようで分からない表現でしたが、少なくともリズムを生む役割は果たしていたと思います。
展開や行動原理に理屈が通っているのでシュールとは感じませんでしたが、カメラの動きや演出にシュヴァンクマイエルの影響が感じられました。
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