エーコ

ユナイテッド93のエーコのレビュー・感想・評価

ユナイテッド93(2006年製作の映画)
3.6
徹底したプロフェッショナルの不在。乗客、管制塔、軍、犯人のいずれにもハイジャックのプロはいない。従って手ぶれカメラによるヒステリーが全面的に展開されることになる(カメラの揺れはリアリティの問題ではなく、むしろ正確に何かを見ることができない、描写することができないという事態を示している。無論、ほとんどの場合、混乱したカメラワークは単なる技術の不足である場合が多いが、これは一定の様式に達していると評価できるのではないか?)

序盤から中盤にかけては、本事件の背景に当たるWTCへの2機の激突と、国防総省への1機の激突という出来事が、ほぼ指令室のみの視点によって描かれる。プロフェッショナルがいないので劇的な瞬間に立ち会う人間もいない。終盤、急ごしらえのプロフェッショナルが感傷に包まれて立ち上がっていくのだが、もちろん結実することなく暗転する。
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