このレビューはネタバレを含みます
ジブリにしか描けない圧倒的な独特な世界観。設定からキャラクターから舞台から演出までどうやったら思い付くのか非常に興味深い。一つ一つのシーンに引き込まれる要素を持っているような気がしている。
ファンタジーとシリアスが混在するジブリならではの世界観を持つ本作品が2004年に公開されたことに驚愕した。唯一無二の作品で、この先もハウルの動く城のような作品は生まれないだろうと直感した。当時のままでも非常に綺麗な映像美であるが、技術が進んだ今に公開されていたらと考えると、かなりワクワクする。
冒頭のハウルとソフィーの空中散歩のシーンで、一気にジブリの世界観に引き込まれる。「はい、ジブリ作品が始まります」という合図だと思った。不気味で不可解な敵から空中散歩で逃げるという王道のジブリっぽさが堪らなかった。また、冒頭で流れる「人生のメリーゴーランド」は映画を観ずとも壮大で心打たれるが、この音楽が一気に鑑賞者をジブリ世界へ迷い込ませると感じた。久石譲氏が偉大。
声優も豪華だし、キムタクの存在が大きすぎる。もちろん、ソフィーを演じた倍賞氏、荒地の魔女を演じた美輪明宏氏、カルシファーを演じた我修院氏、マルクルを演じた神木隆之介氏、全員ハマり役だと思う。その上でキムタクが吹き込むハウルは別格な気がしている。作中に出てくるイケメンで紳士なハウルがキムタクに見えてくるし、キムタクがハウルにも見えてくるような状態。キムタクのYoutubeでジブリパークを訪れた際にハウルの空中散歩のシーンを再現していたのを見て、本作品を実写化するなら、ハウルはキムタク以外の適役は考えられないと感じた。
本作品はハウルとソフィーの恋模様を描かれている上で、反戦メッセージも込められているという解釈でいいのだろうか。圧倒的なジブリ独特なファンタジー世界に引き込まれはしたが、明確なメッセージはどこにあるのか釈然としなかった。
ハウルとカルシファーはなぜ復活できたのか、ハウルの弟子であるマルクルの正体は何なのか、カブはなぜ呪われたのか、サリマンの狙いは何なのか、自分の中で解消できていない謎が多く残っている。だが、しかし、謎が残り想像で補ったり解説を見たりすることこそ、ジブリ作品の良さであると思う。鑑賞後に残された宮崎駿氏からの宿題はじっくり余韻に浸りながら楽しみたいと思う。