OASIS

13歳の夏に僕は生まれたのOASISのレビュー・感想・評価

13歳の夏に僕は生まれた(2005年製作の映画)
3.6
父親とのヨット旅行中に溺れてしまった13歳のイタリア人の少年が、通りかかった移民船に助けられそこに乗っていた兄妹と出会うという話。

心温まる話かと思いきや、少年が出会う兄妹が本当に血縁関係があるのかという点がぼかされていてなんとも心地が悪い。
性的な関係なのか?それとも犯罪的な何かが絡んでいるのか?と邪推せざるを得ない状況だった。

移民船に乗った事で少年の心に変化が生まれて、それに応えるように両親も兄妹を自分の子供にしようと奔走するのだけど、それも上手くいかない。
18歳で成人を迎える事は、日本に生まれた自分にとっては素直に羨ましいと思える部分だったのだが、そこには移民を受け入れる体制への弊害も存在していて、現実問題の厳しさを知る。

収容所での生活は裕福な少年にとってショックの連続で、今まで見た事の無い日常が繰り広げられていて、そこでの体験によって少年は始めて一人の人間として生まれ変わり、大人の階段を登る。

少年にとっては、知らなかった世界を見て自分の中の何かが変わる事はあっても、世界を支配する何かを変える力を持ち合わせておらず結局何もする事が出来ないという事を認識する。
自分の小さな力では現状を打破する事は出来ず、ただその力に押しつぶされた人の傍らにいる事でしか支えになれない。
そんな状況を観ている側も、変え難い事実を否が応でも痛感させられてしまう映画でした。
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