このレビューはネタバレを含みます
300人以上の女性を殺害した実在の殺人鬼、ヘンリー・リー・ルーカスを描いた作品。1986年につくられて、お蔵入りしていたものが4年後に公開。日本では1992年に公開されたそう。
ヘンリーと彼のかつての刑務所仲間のオーティス、その妹ベッキーとの同居生活が描かれているんだけど、ストーリーはとてもシンプル。
まぁ、とにかくヘンリーは息をするかのように人を殺していたようで、見ている限りだとこれといった動機も理由も、あるいは殺意もないまま至った殺人がほとんどなんだろうと思うんです。夜道で犬の散歩をしていたマダムを殺そうとしたものの、殺人に至らなかったシーンがありましたが、まさにそんな感じ。そのときの流れにまかせて、隙あらば徒然なるまま人を殺していたんだと思います。だから、当時ヘンリーと出くわしてしまった人は本当に気の毒だと思います。っていうか、警察は動いてなかったんですかね。
かつてベッキーは父親から、ヘンリーは母親から性的虐待を受けていて、そこの部分でベッキーがヘンリーにシンパシーを感じたこともあって、ベッキーがヘンリーに思いを寄せ、恋人同士の関係になります。ヘンリーは若い頃にそんな母親を殺害しています。
で、蓋を開けてみたら、ベッキーは兄のオーティスからも性的虐待を受けていて、それを目の当たりにしたヘンリーがオーティスを殺害。ヘンリーとベッキーで逃げたのですが、逃亡先のホテルでヘンリーはベッキーを殺害。「え?!どうして?」という驚きはまったくなく、その流れに納得してしまいました。
結局、ヘンリーにとって幸せや快楽は、所詮人を殺すことでしか得られないんでしょうね。