たまち

秋日和のたまちのネタバレレビュー・内容・結末

秋日和(1960年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

・今なら考えられないセクハラ発言は多いが、小津作品の男はどこか抜けていて滑稽で憎めない。秋刀魚よりも老獪でなく、あっちこっち揺さぶられている雰囲気もある男三人。今の時代から見ると自分たちで決めて縁談等を動かしているようで、じつは世間体に振り回されている人たち。
そしてキモいがわかる、秋子もアヤ子も選び難い。

・散々だしにされ、結婚式では心なしかしゅんとしている北竜二が可愛い。好感度バランスでもとってるのか。パイプでおとぼけ田口・間宮のシーンがかわいい。

・嫁入りの夜、泣き笑いのような表情の秋子はまさに秋刀魚の味の平山との対比だった…。ただし女2人を描くのは難しい。ラストの原節子が大きく印象を残した代わり、司葉子の晴れ姿はカットも少なく秋刀魚の岩下ほどの感激をのこせず残念。

・百合ちゃんが最高に可愛かった!モダンで思ったことはどんどん口に出すし、怒鳴りこみには行くわ、おじさんを手玉に取っての表情は百面相で愛嬌MAX。独りになった秋子をお土産をもって尋ねに行く気遣いっぷり。こじれた関係を吹き飛ばす、爽やかなつむじ風。幸せになってほしい!

・じゃんじゃん撮る時代だったんだろうけど、いい加減見慣れてきた職場やら料亭やらの景色(笑)名前も似すぎててわからない(笑)島津雅彦(息子)なんて衣装も一緒。

・毎度ながら舞台作りのこだわりには唸るばかり。アクセントに入る赤チェックが完璧な構図、夕闇に写る橋のシルエットは小林清親の光線画のごとし。百合ちゃんの部屋も、向かいの大提灯を含めて平面的なのに立体的。日本人には落ち着く?奥行感。
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