このレビューはネタバレを含みます
「恋の手ほどき」
お天馬娘のジジは、恋を知らない少女。恋多きフランス人を理解することができないが、ガストンという男性を慕っている。彼自身は社交界を賑わすプレイボーイで、世間は彼の話題で持ちきり。
まぁ簡単に言って仕舞えば、最終的にこの2人が結ばれる話なのだが、2人の関係はなかなか先には進まない。紆余曲折あり最後にはゴールインするが、そこまでの道のりは前進したり、後退したりを繰り返す。
19世紀の花嫁修行ありきの上流階級の結婚を皮肉った作風となっていて、この映画が公開された1950年代にも残っていたであろう「従順な妻であれ」という思想への皮肉でもあるように感じる。オードリーの時代から、こういう女性像の映画が多い気がする。当時の世相なのだろう。
そう言った意味では社会的意義のある作品なのかもしれないが、ミュージカル映画にも関わらず、特筆して良い曲があるわけでもなく、ストーリーも平凡なので、アカデミー賞で作品賞を受賞したということには疑問が残る。
19世紀のフランスの家屋や衣装などの美術面やエッフェル塔を下から撮影した映像や終盤の暗闇を活かした演出面では面白かったが、内容はかなり微妙な作品であった。