ぴろぴろ

ずっとあなたを愛してるのぴろぴろのレビュー・感想・評価

ずっとあなたを愛してる(2008年製作の映画)
3.8
窓ガラスに伝う雨。 雨がわだかまりを洗い流してくれるのか、フランスにも「雨降って地固まる」って有るのか。 美しくて印象的なシーン。
重い映画だけどフランス語が耳に心地良く、クリスティン・スコット・トーマスが我が子を殺めて服役後のジュリエットを演じる。 丁寧で繊細に、周囲との微妙な距離感の中にいる。 化粧っ気のない顔が、背負った罪の重さと絶望感、15年前で止まってしまった歳月と疲労感、それでも滲み出ちゃうどこか知的な美しさ。 服役前は医師だったという設定が、「あぁ やっぱり」という感じ。
彼女が抱える悲しみと苦しみの深さは、本人以外の誰にも分かるはずもなく、弁解も釈明も赦しも同情も理解も、最初から求めてはいない。
ジュリエットが受け入れられるまで周囲の戸惑いや詮索や好奇、春が来て雪が解けて行くように徐々に縮まる周囲との心の距離感が絶妙で、この映画の根底に流れてる誰かを想う優しさや温かさ、愛情、そして苦味も感じる大人な映画だった。
ぴろぴろ

ぴろぴろ