佐藤でした

別離の佐藤でしたのレビュー・感想・評価

別離(2011年製作の映画)
4.0
テヘランで暮らすある夫婦の離婚調停から物語ははじまる。娘の教育環境を考えて外国への移住を望むシミンだが、痴呆症の父を介護する夫ナデルは承諾することはできず、二人は対立していた。
介護ヘルパーとして雇われた若い女性ラジエーはある日、寝ているナデルの父をベッドに縛りつけて外出。ナデルが帰宅すると父は床で意識を失っていた。大事な用事で少しの時間出てしまった‥‥というラジエーの言葉は、激昂するナデルの耳には届かず。ナデルは彼女を玄関の外へつき飛ばしてしまった。その後、ラジエーが病院で手術を受け、流産したことを知らされる‥。

ここから始まる法廷劇。容疑者となったナデル、被害者となったラジエー、妻を擁護するラジエーの夫、そして事件の目撃者であるナデルの娘。愛する人がいて守りたい生活があるのは皆同じ。小さな嘘をつき、事実を隠して、不利になることをうやむやにすれば今の生活が守り切れるかもしれない。
でも神仏への信仰が深いイランの人々は、“真実”を無視できない。損か得かではなく“本当”かどうか。彼らが対峙するのは“敵”ではなく“自分自身”なのだ。

朗らかで微笑ましいだけの何気ない風景が後から重要なシーンとして語られることも多々あるため、自分が事件の証人になったような気持ちで見入ってしまった。イラン映画がアツい。そして女性が美しい。
佐藤でした

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