ゆきゆき

愛情萬歳のゆきゆきのレビュー・感想・評価

愛情萬歳(1994年製作の映画)
3.8
空きマンションの一室で触れ合い、すれ違う3人の男女を描いた作品。セリフではなく表情と仕草で登場人物の感情を切り取る演出には引き込まれます。

小康の佇まいには最初から違和感があります。着慣れていないスーツ、突然自殺を図り、職場での所在なさげな様子。ストーリーが進み、小康が異性装した姿を鏡に映し、阿栄と美美が情事にふけるベッドの下で自らを慰め、眠る阿栄に寄り添うに至り、彼の抱える孤独の理由が分かりました。ただ小康が自殺を止め、空きマンションに留まり続けたその理由に、阿栄は応えることはないのでしょう。

美美は不動産セールスが上手くいっていない様子。行きずりの男と一夜を共にしても、相手がその思いに応えることはやはりない。感情の溢れるままに涙を流す美美と、彼女の孤独を反映したかのような寒々しい朝焼けのラストショットは心に残り続けます。
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