ペコ

トライアングルのペコのネタバレレビュー・内容・結末

トライアングル(2009年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

久しぶりにメモ取りながら見てしまいました。私の大好きな異世界系ホラー。

↓以後、乱雑に自分の解釈を。

・ 一言でまとめると → シングルマザーの壮絶な心の葛藤。
・ ストーリーを簡単にまとめると → クズ夫に逃げられ、自閉症の息子を一人で育てるのにも疲れ、心に余裕のない時に事故って死亡。その死のショックから目を背けるも、最愛の息子を死なせてしまったという現実との間で、自家中毒のように無間地獄の狭間で永遠もがき苦しむ母親なのであった。(これをみている主体が母親なのか息子なのかは不明)

・ ジェス → 主体的な人格
・ グレッグ → ジェスが求める理想の異性
・ ダウニー → 理想の夫婦
・ サリー → 理想の夫婦(この3名は過去で繋がっている)
・ ヴィクター → 自問する人格
・ ヘザー → 現実逃避を促す人格(早々いなくなってくれますね)
・ カモメみたいな鳥 → よく分かんないけど、始終登場してくれます。


1回目。
AEOLUS号に乗船。まずはじめに気になるのはジェスaの視線。積極的に探索しようとするヴィクターとは反対方向を向いています。しかし、一歩一歩廊下を歩むごとに、ヴィクターの行く先が気になるご様子。少しずつ事故のことを思い出す気になっているのでしょうか。

一同は食堂へ。時計の針は8:17。おかしいですね。グレッグの時計は11:30だそうです。トライアングル号に乗ったのが8:30でしたから、これはおそらく事故ったときの時刻だと思われます。奇しくもジェスaの腕時計も食堂の時計と同じ時刻を指しています。つまりはこの船、死んだ彼女の深層心理世界なのでしょう。その証拠に、ステージに置いてあるドラムは、事故現場にいたブラスバンド隊が持っていたドラムと同じものです。

ジェスaとグレッグは鏡に書かれたgo to theaterの文字を発見。
廊下にて二人の会話より。
g 全て君の思い込みだ。この船は幻じゃない。必ず船長がいる。君の世界じゃ違うのか?
j 私の世界は今、学校で母親の迎えを待ってる。私の世界とか言わないで。
変な会話です。私は船長と母親という言葉が対応したものだと考えました。船長は唯一神のような父親の存在、何でも筋の通った合理的な世界、これを信じる個人の世界観を解いているように思われます。一方、それに対してジェスaは、私にはただ黙って待っていることしかできない、という不条理を訴えているように思われます。不条理の前に、人は退行するしかないのでしょうか。

食堂へ戻ったジェスaは、ジェスbによって頭を負傷させられ怒り狂ったヴィクターに殺されそうになりますが、何とか逃げ切り劇場へ。

劇場にて、ジェスcが銃乱射。サリーとダウニーはさようなら。2人を見捨ててジェスaはデッキへ。

デッキにて、ジェスcと死闘。

レコードはループから、いっとき楽しげなブラスバンド音楽を流す。しかし、また再びループへ。現実と現実を直視できない心の葛藤世界が再び始まる。

1回目のジェスたちをまとめると、、、
ジェスa(新しく来た奴) → ジェスc(殺される)

ジェスb(2回目でこの位置にいるジェスaと比べると、何も仕事してない印象)

2回目
ジェスd(新しく来た奴。1回目とは違う倒し方をしています。何かあったのでしょうか) → ジェスb(殺される)

ジェスa(武器庫前のロッカールームで何か1回目にはなかった変化があったのでしょう。銃をとって夢に浸っている自分と戦います)

3回目
ジェスf(新しく来た奴。1回目とほぼ同じ倒し方) → ジェスa(殺される)

ジェスd(何してたっけ?)

たぶんこのパターンがループしているのでしょう。何がどうなって違いが出てくるのか、そこまでは読み取れませんでした。

また、所々更新されていくものと、すぐにリセットされてしまうものがありますが、それは、記憶にも短期記憶と長期記憶があるように、ジェスが何度も何度も思考した記憶(例えば理想の妻像であるサリーの死体や、息子への愛情の証のペンダントなど)は更新されていきますが、そうじゃないもの(銃弾や柵に残った血の跡)はループとともにリセットされたのだと思います。

クライマックス。事故のショックによって、ジェスの人格は再び分裂。その事故の記憶を忘れようとするがために、息子は今頃学校だなどとまた世迷言を吐き、夢と現実と、その中間を彷徨う主体人格との、トライアングル状態の無間地獄を始めます。この切なさよ。

つまりは面白かった。

※また何か気がついたら書き直すと思います。
ペコ

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