貝崎

自転車泥棒の貝崎のレビュー・感想・評価

自転車泥棒(1948年製作の映画)
4.0
ネオリアリズモの代表作。戦後混乱期のイタリアは、焼け野原の絶望的な風景こそないけど、日本と重なる貧しさがあって混沌としてますね。職安や質屋に群がる人々がその象徴。自転車を盗まれるという小さな出来事さえこの頃の人々にとって生活を脅かす大事件になりかねなかった。

息子ブルーノ(エンツォ・スタヨーラ)の不安げな顔がたまらんすぎる。親子というより相棒みたいな関係性。常に行動を共にしていて、小さな息子として気遣う場面もまったくない。アントニオ(ランベルト・マジョラーニ)にそれ程の余裕がないから。雨が降っても一日中歩き倒して疲れても、とにかく父のあとを必死に着いていくブルーノに同情できないはずがない。ズルいなあ。運に見放されたアントニオに舞い降りた天使のような存在になる結末は、悲しみと愛おしさでいっぱいになって、小さくなった二人の背中を抱きしめたい衝動に駆られるのでした。