COME

自転車泥棒のCOMEのレビュー・感想・評価

自転車泥棒(1948年製作の映画)
4.0
多分、お前それは違うだろ。そう言われる事を覚悟の上で。

これは希望の映画だ。絶望じゃない。
お天道様は見てるよ、とか、理不尽が重なって魔がさしたんだ。とか、そういうことじゃない。理屈を通り越した直感がこれは希望だと言っている。
それを言葉にする事はいまの僕ではキャパオーバーで表現しきれないけれど、この映画に僕は希望を感じた。

僕が映画フリークになったきっかけを作ってくれた方が僕が10歳の頃二枚の新聞の切り抜きを見せてくれた。
1枚は確か相撲の土佐ノ海関が上手投げで優勝を飾る瞬間の写真。
2枚目はテレビ越しでその瞬間、両手をあげて喜ぶ土佐ノ海関のお父さん。その脇には大量の汗。

その二枚を僕に見せて、どっちがドラマでどっちが映画か分かるかい?と。
彼はその二ヶ月後に亡くなった。だから答えがわからないまま20年以上経ったけれど、僕は今でも答えを出さずに映画を見ている。
この映画もそんな彼が好きだった一つ。
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