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男はつらいよ 私の寅さんのkojikojiのレビュー・感想・評価

男はつらいよ 私の寅さん(1973年製作の映画)
3.9
No.1648 寅さん第12作 岸恵子

 私のフォロイーさんの「さりさりさん」が少し休まれるということで、「頑んばれ!さりさりさん」の思いを込めて、このレビューを書くことにした。
 さりさりさんのレビューをみると、満点の5.0の作品が23作品あるが、その中に寅さんが4作品入っている。
「男はつらいよ」第1作
「続男はつらいよ」第2作
「男はつらいよ 寅次郎純情詩集」第18作
そして今作
「男はつらいよ 私の寅さん」第12作
である。

 さりさりさんとは寅さんについて、過去にコメントを少し交換したことがあるが、かなりの寅さんファンであること、「通」であることが、その言葉の端々でわかった。いずれ私が寅さんのレビューを書き始めた時に、ゆっくりコメント交換しょうと内心すごく楽しみにしていた。
 今回「元気になって下さい」の応援の気持ちも込めて、私もいよいよ寅さんのレビューを本格的に始めることにする。

 さりさりさんの5.0の作品4作品に対する皆さんの評価はどうだろうか?
第1作、第2作が高評価なのは、寅さんファンなら当然だと思うが、さりさりさんの今作「私の寅さん」と「寅次郎純情詩集」を5.0評価とされていることが私にはすごく面白く興味深く感じた。
 さりさりさんのこの映画に対するレビューは、過去に読んでいるかもしれないが覚えていない。自分がレビューを書いた後にそれぞれのレビューを読むことにする。そして読んだ後に必要ならレビューの修正追加もしょうと思っている。

 それでまず、「私の寅さん」から始めることにした。

 マドンナはもちろん岸恵子。
 兄役に懐かしい前田武彦が共演している。
 封切り当時の私の印象は、岸恵子のバタくささ、わざとらしい大袈裟な演技は寅さんに合わない。無理しているとしか思えず、かなり評価は低かった。それでこの作品はあまり観ていない。ところが、10年ぐらい前に観た時、印象が一変。岸恵子がすごくいいと思った。

 そして今回、再び印象が変わった。岸恵子の存在がそんなに派手に見えず、寅さんを取り巻く柴又の雰囲気に合わないという印象が全く消えた。しかもかなり素直に観れた。
 もちろん画家役の岸恵子の生活と寅次郎が交わる部分はないに等しいが、それが全く気にならない。落ち着かない印象があったのに、今回は全く消えた。
 前田武彦のわざとらしいと思った演技も今回は全く鼻につかず素直に観れたし、割と落ち着いた作品に思えたのが不思議だった。

 岸恵子の演じる柳りつ子の寅さんの気持ちに対する対応もすごく納得できて違和感がなかった。私はこの点が、私の寅さん映画の評価の分岐点である。マドンナの対応が納得観のあるものを高得点としている。そういう意味で今作はかなりいい。
 ただ、最初の家族の旅行の部分で泣かせはするが、他は笑わせるシーンが少ない気がする。やっぱり寅さんの魅力は泣いたまま笑わせるシーンだろう。それは残念ながらなかった。
そういう意味では、寅さんとりつ子のやり取り以外は印象が薄い。その点が4.0にならない評価になった。

ラストの口上ー寅さんは絵を売っている。横にはりつ子が書いた寅さんの絵が非売品として飾られている

「東京では1枚が1000円が2000円下らない芸術品だが、
浅野内匠頭じゃないけど腹切ったつもりだ。

まがった数字が一つ
物の始まりが一ならば国の始まりは大和の国
島の始まりが淡路島。
泥棒の始まりが石川の五右衛門ならバクチ打ちの始まりが熊坂の長範!
続いてマケちゃおう二つ!ね!
兄さん寄ってらっしゃいは吉原のカブ。日光結構東照宮。
憎まれ小僧が世に憚る
仁木の弾正 お芝居の上での憎まれ役と来た!」
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