ユースケ

GOEMONのユースケのネタバレレビュー・内容・結末

GOEMON(2008年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

前作【CASSHERN】では、監督、脚本、撮影、編集を務めた紀里谷和明。本作ではそれに加え、プロデューサー、製作、原案も務め、完璧な紀里谷ワールドを目指しております。

もちろん、みどころは、紀里谷和明のビジュアル・センスが爆発した映像の数々。
オープニングの花火が上がるシンデレラ城から人間がごった返すお祭りへの流れで掴みはOK。「絶景かな!絶景かな!」
ミニスカの遊女が舞い踊り、戸田恵利香と佐藤江梨子に板挟みにされる両手に花状態の遊郭もたまりません。「絶景かな!絶景かな!」

更に、城をひとっ飛びする跳躍力と数万単位で人間を殺す戦闘力を持つGOEMON(江口洋介)をはじめ、霧隠才蔵(大沢たかお)、服部半蔵(寺島進)、猿飛佐助(ガレッジセールのゴリ)など、伝説の忍者がいっぱいでお祭り状態。太陽の中で飛び蹴りを交差させるGOEMONと霧隠才蔵の対決シーンは必見です。

前作【CASSHERN】での失敗を踏まえ、わかりやすいストーリーと見やすいアクションで観客のご機嫌を取りにきますが、そんなもの観客は求めていないので、さっさと持ち味のお説教タイムを発動して観客を悶えさせて欲しかったです。
ちなみに、テーマは前作同様、暴力の連鎖。やはりそこにはブレがありません。お見事です。

逆にブレブレなのは主人公のGOEMONの言動。母親を殺された少年に「強くなれ坊主、そうすりゃ何も奪われはしない」と暴力を強要したかと思えば、復讐を果たした少年に「お前のおっかさんはそんなこと望んじゃいねえ」と殴りかかったり、口では復讐を否定するくせに、自分の復讐はしっかりとやり遂げたり、言動に一貫性がなく、最初から最後まで何がしたいのかよくわかりません。
おまけに、身分による格差を訴えていながら、豊臣秀吉、石田光成、猿飛佐助など、成り上がり者に対する扱いが酷い。特に、猿飛佐助の扱いは鬼です。

なんだかんだ文句ばかりになってしまいましたが紀里谷先生。これからもぶっ飛んだ映画をよろしく願いします。以上。