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エスターのkouのレビュー・感想・評価

エスター(2009年製作の映画)
3.0
《邪悪な子供》
邪悪な子供、というのを扱ったホラー映画と言えばやはり「オーメン」だと思うが、今作はその系譜を受け継ぎつつも、リアルな子供という存在自体の持つ恐ろしさ、残酷さという面に焦点を当てた作品になっている。

あるつらい過去を持つ夫婦が、孤児院から少女エスターを引き取る所から物語が始まる。引き取ったエスターがどこかおかしいと思わせる序盤、そして中盤から常軌を逸した行動が加速していく。今作の面白い所は、子供にそんなことができるはずないだろうと観ている側も思う事を、エスターがバンバン乗り越えていく点だ。シスターとの件ぐらいから、怖いというより面白いと思えてくる。

エスターが異常な行動をして、妻ケイトはそれに気づきなんとか夫にそれを伝えようとするも伝わらない。それは彼女のアルコール依存症だったという過去があるからだ。自分は敵の恐怖を知っているのに、周りは気づかず、逆に自分がおかしいと思わせる展開はホラー映画の典型とも言えるだろう。

また、伏線が見事だ。例えば、何故首と手に布を巻いているのか、恐ろしいほどの知能と、銃や殺しのテクニックはどうして持っているのか、どうして歯医者に行きたがらないのか、といった数々の伏線は、クライマックス明かされることとなる。僕としてはその展開が思ってもいなかったので、面白かったし、なるほどなと思わされた。ホラー映画ならではの面白さが詰まっている作品だと思う。
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