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夏至のsonozyのレビュー・感想・評価

夏至(2000年製作の映画)
4.0
蒸し暑いこんな夏に観たくなる?ベトナムのトラン・アン・ユン監督作。
ベトナム・ハノイに暮らす3姉妹の物語。

長女スオンはカフェを営んでいて、不在がちな植物写真家の夫クオックとの間に幼い息子がいる。夫婦はそれぞれ秘密を抱えている。クオックはハロン湾に撮影旅行に出かける。

次女カインは新婚ラブラブで、家にいる作家の夫キエンは小説の最後のパートが書き終わらず悩んでいる。妊娠し二人で喜ぶが姉妹には当面内緒に。キエンはサイゴンに1週間ほど出かける。

三女リエンは、役者の卵の兄ハイが大好きで二人でアパート暮らし。同じベッドに寝たり朝からダンスしたり。恋人のホアに会いにいくが、ホアは彼女を避けている様子。
※リエン役は『青いパパイヤの香り』他にも出演している監督の奥様トラン・ヌー・イェン・ケー。

母の命日から、その1ヶ月後の父の命日までの間。
三姉妹が抱える問題や秘密が明らかになっていく・・

ベトナムの亜熱帯気候、湿度、雨、チルい時間の流れ。
そして、三姉妹の色香、ベトナム語の心地よいリズム。
このジャケ写は、三姉妹で歌いながら鶏料理の準備をしているシーンで、三人それぞれの表情のアップ、会話、ブルー系の麻の服。象徴的なシーンです。

外の水場で着衣のまま水を浴びる三姉妹。
ドリアン、鶏の丸焼きなどの食材の質感。
雄大なハロン湾、土砂降りのハノイの街といったロケーション。
スオン、カイン、リエン、それぞれが暮らす部屋・・・
ベトナムの空気と官能的な時間に浸れます。

昔、ハノイに行ったことがありますが、こんな艶っぽい時間は体験出来ませんでした。笑
記憶にあるのは、車より多いバイク/スクーター(女性はマスクや腕カバーで排ガスと日焼け対策)、たまに見かけるアオザイ着た女性。
本作に出てくるカフェ店内や三姉妹の調理場の低いイスを見て、道端や店先に無造作に置かれた風呂イスみたいなプラスチックスツール(食事や喫茶用)を思い出しました。ベトナムではこれがデフォなんですね。
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