富樫鉄火

母のおもかげの富樫鉄火のレビュー・感想・評価

母のおもかげ(1959年製作の映画)
4.0
#22 淡島千景大会@神保町
ひさびさの再鑑賞。
淡島千景さんが亡くなったとき、淡路恵子が「あの方は(お芝居が)うますぎて、とてもかなわない」といった主旨のコメントを述べていたが、そのことがよくわかる一編。
むかし観て号泣した記憶があるので、今回もそうなるかと思ったが、さすがに歳をとって、かなり冷静に観られた。
この映画がスゴイのは、子供世界を描いていながら、兄妹ケンカのシーンなどに演出とは思えない迫力がある点で、あそこは何度観ても目を覆いたくなる。
その際の千景さんの芝居、また、ラストの道夫とのシーンで涙を流すところなど、ほんとうにうまいと思う。
この映画は、登場人物全員すべてが「善人」で、ワルイ奴はひとりも登場しない。なのに、これほどの葛藤のドラマが描ける。この時代の「ものがたり創作力」と「演出力」は、尋常ではなかった。
富樫鉄火

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