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容疑者Xの献身のleiene1991のレビュー・感想・評価

容疑者Xの献身(2008年製作の映画)
3.2
湯川と石神、物理学者と数学者の異なったアプローチでの論理の進め方が興味深かったのと何より堤真一の演技が素晴らしい。
邦画や日本のドラマ等にはまだまだ疎いので恥ずかしながらこの方の演技をちゃんと見るのは初めてだったのですが唸るほど上手かった
感情が見えず俯きがちで何かを諦めたような目、自嘲するような僅かな笑い、マフラーに顔を埋め背を丸めた歩き方とか見事に石神という役を体現している

大学で准教授を務めまだまだ若々しく髪もふさふさな湯川、かたや高校教師として数学に興味もない学生に向かって意味のない授業をする石神との対比から生まれる人生の無常さやるせなさ
人間ドラマとしてもミステリとしてもすごく良かった部分が多いです

ただ一点観ててすごく引っ掛かったのが石神が思いを寄せる花岡靖子に関して、事件に携わる人間がわざとらしさを感じるレベルで"美人"という言葉を連発してて、この件はいるのかなと疑問に感じたので原作を読んだのですが、やっぱりここまで露骨な表現はなかった
この作品かなり原作に忠実に映画化されてる方だと思うけど何故あんな台詞入れたんだろう

原作を読んでみて小説の中で石神の言う美しさは映画の台詞に出てくる美人とは全くの別物だと感じ納得できた
この部分がもっと丁寧に描かれてたらもっと感動できたと思うだけに少し残念
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