leiene1991

ヘイト・ユー・ギブのleiene1991のレビュー・感想・評価

ヘイト・ユー・ギブ(2018年製作の映画)
4.5
作りがシンプルなだけに全ての感情がストレートに痛い程心に刺さる。

これが世界の今なんだろうと思うと共に、飛躍的に進歩したはずの社会の中でも人間の本質は変わらない。
また進歩する事で新たな分断や差別が生まれていく皮肉。
怒りや憎しみの連鎖を断ち切る勇気とはなんなのか、どうやってそれを示すべきなのか。


黒人差別に限らず差別や偏見というのは至る所に有ると思います。
価値観に合わないもの、受け入れられないものをヘイトし、個人的な出来事であってもそれを大きな枠にカテゴライズし今度は全体を差別するようになる。
そしてその価値観に賛同する者が増えれば増える程、確かなものとして概念化されていく恐ろしさがある。
勿論全員とは言わないがヘイリーの発言を聞いていると、白人の中には間違って概念化された黒人像が共通認識としてあるんだろう。

最初のシーンなんかはそれが分かってるからこそ、子供たちを守るための父親の説教だったんだと観賞後に改めて思い知らされました。
彼氏がスターに"君自身を見てる"と言うけど社会はそういう風には見てくれないというスターが持つ心情の複雑さなんかもよく表現されてます。

出てくる人達それぞれの立場になって考えて観ると本当にやるせなくなるし、人間が持つ多様で複雑な感情について考えさせられます

肌の色は関係なくみんな同じ人間。
とは思えなかった。
ただ、スターの台詞にあるように重要なのはカリルが"生きてた"事
みんな生きている人間。
こう言い換える方がしっくりきます。

観てる側にも色んな感情が押し寄せてきてなんだか要点が纏まらないレビューになってる自覚はあるけど、とりあえず記録。
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