天豆てんまめ

父親たちの星条旗の天豆てんまめのレビュー・感想・評価

父親たちの星条旗(2006年製作の映画)
3.5
イーストウッド硫黄島2部作。
日米双方の視点という初めての試みの米国側の視点は、
クラシカルなハリウッド映画、ザッツアメリカな映画だった。
でも、イーストウッドだと陳腐にならないのが見事だ。
戦場では敵も味方も、自国も他国も変わらない地獄の現状。
米国兵から見ても硫黄島各地に潜む日本兵の仕掛けで、一斉射撃
、小隊全滅の連鎖はとてつもない恐怖。無力感。
あの有名な米国旗を掲げる写真。写真に写ってた6人の内、生きて
帰れたのは3人だけ。祖国に帰った彼らは英雄として祭り上げられる。
戦死した仲間の母親たちも巻き込んでのセレモニー。
脳裏から離れない地獄のような戦場。そして彼らも心を蝕めていく。
戦後の苦しみを描いた映画は多いがイーストウッドは訥々と書いている。
アメリカン・スナイパーの方が映画としての完成度は数段上か。
物足りないのは主演のライアン・フィリップには荷が重かったか。