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アンブレイカブルのkouのレビュー・感想・評価

アンブレイカブル(2000年製作の映画)
4.0
《ヒーロー誕生譚》
「シックス・センス」の後に作成されたシャマラン監督作。M・ナイト・シャマランという監督はとても変わった監督だなと今作を観て改めて思わされた。デイヴィッドというヒーローの誕生の物語であり、そこに物語のメインを置いた変わったサスペンス作品だと思う。

物語は列車事故でデイヴィッド(ブルース・ウィリス)がかすり傷1つ負わずに唯一生き残るところから始まる。そこに「今まで病気した日は何日?」と書かれた手紙が来る。その差出人は些細な事でも骨折してしまう病気を持つイライジャ(サミュエル・L ・ジャクソン)、Mr.ガラスだった。彼は自分の弱い体と対極であるアメコミのヒーローが実在すると考え、それがデイヴィッドだという。

デイヴィッドこそがヒーローなのではないかというイライジャに対し、デイヴィッドは自分の能力に疑問を持つ。しかし、半信半疑だったデイヴィッドは幾つかの出来事から、自分がヒーローであると気づいていく。シャマランがここで変わっているのは、散々オカルトな部分と現実を行ったり来たりしながらも、最終的にはオカルトな部分に行き着くということろ。自分はヒーローなのかそうでないのか、という葛藤が物語の主軸でありながら、単純な「やっぱりヒーローでした」という結論に行きつくところが流石だった。

ヒーロー誕生譚という位置づけなのだろうけれど、それにしても一本の映画にするには長い。「実は○○」というシャマランお得意のラストの衝撃も、決して物語の主軸でなく、どこか外した部分での驚きというのも面白い。しかし、だからダメだというわけではなく、どこか笑えて、そして確実に面白くて惹きつけられるという部分でシャマランという監督作について目が離せなくなってしまうのだと思う。

Mr.ガラスという強烈なキャラクターを生み出した魅力も大きい。ヒーローがいるから悪がいるというヒーロー物の根底にある葛藤を描いている作品だと思う。ここから物語が続いていくのが楽しみだ。スプリット、そしてその次に待っている作品に期待したい。
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