オリカ

ミスティック・リバーのオリカのレビュー・感想・評価

ミスティック・リバー(2003年製作の映画)
4.0
すごく色々考えてしまった…
子供の頃に仲が良かった3人が背負うことになった十字架はとても重い。
デイブは正直者がゆえに拉致され、暴行され、トラウマを植え付けられたせいで
大人になってからは嘘ばかり付くようになる。
ショーンは刑事となり犯罪に立ち向かっている。
ジミーは悪のリーダーになるけど、家族を想って足を洗っている。
事件以来、なんとなく疎遠になっていた3人がある出来事をきっかけに、また顔を合わせるようになる。

3人がバラバラの人生を歩いているように見えて、実は大人になっても子供の頃の事件のことはずっとシコリとなっている。

もちろん一番可哀想なのは被害者であるデイブなのだけど。
あの時もしデイブじゃなく、自分が拉致されていたら…
あの時こうしていれば…
と人は必ず後悔してしまうものだけど、多分、それは考えても意味がないのだろうな、と思ってしまう。

川に流されるように、人は時間や出来事に流されていって、その流れに逆らうことは出来ないのだなぁと思ってしまった。
悪人も善人もただ川に流されているだけであって、ちっぽけな存在なのかもしれない。
(とは言っても、とにかく犯人が悪い!許せない!という気持ちは大きい)

乾く前のコンクリートにそれぞれの名前をイタズラで書いていた時に声をかけられ、デイブは拉致されてしまったのだけど
デイブの名前は途中で終わっている。
書き終わる前に声をかけられたから。
時計の秒針が止まっているかのようで観終わってからジワジワと辛くなった。
あの日、あの瞬間にデイブの人生は止まってしまったのだなぁと思う。

後味は良くない映画だけど、観て良かったと思います。
オリカ

オリカ