りっく

真珠の耳飾りの少女のりっくのレビュー・感想・評価

真珠の耳飾りの少女(2003年製作の映画)
3.7
スカーレット・ヨハンソンが「真珠の耳飾りの少女」としてキャンバスに固定化されたとき。あるいは妻に言い寄られたフェルメールが描いていた「真珠の耳飾りの少女」を見せようとして、そこにスカーレット・ヨハンソンが立っていたとき。その瞬間に生物が静物なり、人間が芸術になるような鮮やかな反転が観るものをドキッとさせる。それだけでフェルメールのあまりにも有名な絵画を映画化することに十二分に成功している。

スカーレット・ヨハンソンとコリン・ファースが布を被って箱を覗く場面が印象的だ。覗いた先には絵画が映り込んでおり、光の反射によって本物の絵画を映像として箱に閉じ込める仕掛けになっている。その箱に閉じ込められた本物ではない絵画こそが、本作における少女の置かれた境遇と重なり合い、より官能性を帯びた刹那を感じさせる。
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