アキラナウェイ

真珠の耳飾りの少女のアキラナウェイのレビュー・感想・評価

真珠の耳飾りの少女(2003年製作の映画)
3.6
ゴッホに続いてフェルメール。
芸術の秋なので絵画的映画をもう1本。

もう、これはジャケットだけで観たいという衝動に駆られた。

フェルメールによる「真珠の耳飾りの少女」を題材とした映画。

1665年のオランダ。画家ヨハネス・フェルメール(コリン・ファース)の家で住み込みの使用人として働き始めたグリート(スカーレット・ヨハンソン)には色彩や構図等、絵画に関しての潜在的な才能があった。フェルメールは彼女に絵を描く手伝いをさせる様になり、次第に彼女の美術的才能に惹かれていく。

なんと言っても素晴らしきはスカーレット・ヨハンソンの美しさ。

白く透き通った肌
ぷっくりと膨らんだ唇
芯の強さを秘めた眼差し

若干19歳の彼女が朴訥として純粋な美しさを持つグリートを見事に体現している。

ロン毛の似合わないコリン・ファース…。

グリートもフェルメールも口数が少ない為、惹かれ合う様子は表情や立ち振る舞いで表現される。
惹かれ合うと言っても、恋心とはまた違うのが本作のミソ。
側から見ればアトリエに篭りきりの画家と使用人は十分スキャンダルになり得るが、フェルメールの妻が怒り狂う様な関係ではない。

一線は越えていません。

まさにそれ。

ドラマとしてはちょっと物足りない。

グリートはキリアン・マーフィ演じる精肉屋の息子と恋仲になるが、いかんせんそっちも大してドラマティックに展開しない。もう少し強めの筆圧で描けたのではないか。

それでもスカーレット・ヨハンソンは勿論のこと、街並みも絵画の様な色彩や構図で美しく描かれる。
視覚的に楽しめる映画。

「心まで描くのね」という台詞が印象的。