フェルメールという、執拗な美の完璧を求めた狂気と、それに巻き込まれた少女。
画家が引き込んだのか、彼女が自分から進んで向かったのか。
そのどちらでもあるような光と色の静かな熱情がここにはある。
彼氏に身体を赦しているのに、画家に髪の毛を描かれるのを執拗に嫌がる少女。
それは新教という軛を超えて、貞操や「裸になること」まで含まれる。
最期のデッサン。
あれこそ、最上の官能のシーン。
ターバンを取り外して髪の毛を見せるのは、全ての裸身を晒すのと同じで、
唇の色を赤くさせるのは、執拗なキスを重ねると同じ。
そして、ピアスは…。これ以上は言わずもがな。
それらの官能を、光と色と芸術性で見せた作品のテイストがとても好き。
もちろん、稀代の官能女優であるスカーレット・ヨハンソンの、一番神秘的で光に満ちていた時代を切り取れた作品でもある。
美(=香り)への執着と狂気、それに繋がるいびつで狂おしい官能は『パフューム ~ある人殺しの物語~』と似ている。