KnightsofOdessa

トラスト・ミーのKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

トラスト・ミー(1990年製作の映画)
5.0
No.860[噛み合わない会話の心地よさ] 100点

知らなかったのだが、彼の”ヘンリー・フール”トリロジーに日本語字幕を付けようというクラウドファンディングをやっていたらしく、その流れでザ・シネマで本作品を放映していた。”1001の映画2011”の821番目なので鑑賞。4年ほど前にやっていたハートリー特集は総スルーしたが、彼の映画も案外外せないのかもしれないと思い始めた。”ニューヨーク・インディーズ最後のイノセンス”と称されるハートリーの未DVD化作品やいかに…

結論から言ってしまえば、非常に楽しめた。会話遊び、手榴弾、そして、なんといってもエイドリアン・シェリーである。

冒頭、いきなり超展開から始まる。高校を中退したマリアが父親に”妊娠した”と告げて家を出ていき、そのまま父親は心臓発作で死んでしまうのだ。早っ!その後も濃いキャラのオンパレードなのだが、それは見てのお楽しみ。

恋人に棄てられたマリアが精神疾患の女と会話するシーンや色々あって姉ペグや知り合ったばかりのマシューと共に始めて家に戻ったシーンなどで繰り広げられる、複数の話題が交差する会話が非常に可愛らしい。コロコロと話す内容が揺れ動きつつ全体が前に行く面白さは、見ていて楽しかった。

そして、主人公マリアを演じるエイドリアン・シェリーがどえらい可愛い。ずいぶん前に衝撃的な亡くなり方をした女優さんなのだが、その物憂げな表情に私は心を完全に奪われたのだった。

この手の映画の監督はビッグバジェットを手にすると爆死する傾向にあるので、適度な予算で良い映画を作り続けて欲しいなと思った。それが一番大変なんだけどね。
KnightsofOdessa

KnightsofOdessa