とことんダークな世界でも笑えるし愛おしく思えるというのは、ティム・バートンの力量だろう。死の世界という舞台でも登場人物たちが基本的に明るい性格だというのも、関係している気がする。
死人側の立場を味わえるのがこの作品の醍醐味と言っても過言ではないだろう。幽霊って生きてる人間からしたら見えなかったり実体がつかめないから怖いけれど、幽霊からすると生きてる人間の勝手な解釈で怖がられるゆえに迷惑であるというのは納得がいく。
悪魔祓いならぬ悪魔憑きグッズを勧めるビートルジュースは、愉快だけどクレイジーなので同じ世界の住人からも煙たがられている。たしかにしつこくてなんならちょっとうざいが笑、それがだんだんクセになってくるから不思議だ。
作り込まれた世界にほれぼれしたり、妙に現実的だったりシュールなシーンにはクスッと笑ってしまうが、生者たちが音楽に乗って歌って踊ってしまうシーンは声を出して笑った。
大好きなシルヴィア・シドニーが出演しているのが嬉しかった。このダークかつシュールな世界観に見事に馴染んでいた。もちろんウィノナ・ライダーも、やはりダークでちょっと皮肉な雰囲気がぴったり合う。この作品の世界観が彼女の魅力を引き出してもいる。
結局は、死んでようが生きていようが、相手のことを尊重していくことが大事だということである。死んでいるからといって、その人が見ていないとは限らないのだから…