Ricola

ミナのRicolaのレビュー・感想・評価

ミナ(1993年製作の映画)
3.8
シスターフッドものかと思いきや、意外とそうでもなかった。もちろん2人の女性の友情を描いた物語ではあるが、タイトルの通りどちらかというと「ミナ」の物語なのである。

コンプレックスが強くて自分に自信のない二人。だが大人になっていくにつれて、変わっていく。元々不器用な二人だが、お互いの関係性もその不器用さや人生のライフステージの違いなどですれ違っていく。


彼女たちの祖父らしきおじいさん2人が天国から見守っていて彼女たちの出会いを整理するシーンや、彼女たちの妄想として浮かび上がってくる違う世界にいる彼女たちが出てくるシーン。後者では、ブリジット・バルドーやベティ・デイビス、リタ・ヘイワースなど、往年の女優の映画シーンの一部を引用してエテルの本音や思惑を示す。一方でミナのモヤモヤなどは彼女の吸っているタバコが火を含んで燃えている深部を瞬間的に映すというのが繰り返される。

親友同士でも本音と建前は違う。心の声では辛辣なことを言っていても、相手を傷つけないように優しいことを伝える。でもそれが限界を迎える。「実は私たち似てない」と、大人になってミナは言う。二人の友情はお互いの傷を舐め合うことで成り立つ部分もあったのかもしれないが、自分のことで精一杯な時期こそ相手のことを考えられずに嫌な部分にばかり目がいってしまうのだろう。

ミナのいとこが時折出てきてナレーションの役割を担う。彼女は画面の中に存在するが、作品を傍観する我々とをつなぐある意味超越した存在として登場する。だがミナやエテルとの会話のシーンはなく、なんだか寂しげである。

友情の移りゆくさまがシュールな演出やミナやエテルのひねくれた部分を強調しつつ描かれており、友情の儚い側面と強固な側面に共感しつつ、彼女たちの人生の悲哀に打ちひしがれることもあった。
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