櫻子の勝手にシネマ

マリー・アントワネットの櫻子の勝手にシネマのレビュー・感想・評価

マリー・アントワネット(2006年製作の映画)
5.0
ベタだけど、マリー・アントワネットやベルサイユ宮殿が好きだ(笑)
要は史劇全般が好きなのだ。

ただ、こちらの映画は史劇映画というより、マリー・アントワネット(キルスティン・ダンスト)を1人の少女として描いた青春映画と表現したほうが正しいと思う。
だって、映画のキャッチコピーが
『恋をした、朝まで遊んだ、全世界に見つめられながら』ですもの。

監督のソフィア・コッポラ自身がとてもお洒落さんという事もあり、衣裳やヘアメイク、小物類など細部に至るまで抜群のセンスの良さで、私にとってはまさに目の保養。
特に好きな場面は、マリーが夫のルイ16世(ジェイソン・シュワルツマン)と気の合う仲間達と一緒にお忍びでパリへ遊びに行くシーン。
比較的ファンシーカラーの乙女系ドレスを着ている事が多いマリーが、夜遊び用に選んだドレスは、小悪魔系のゴシック風ブラックドレス。仮面舞踏会に合わせて黒いオーガンジーのリボンを仮面代わりに使用しているんだけど、そのコーデがめっちゃ素敵。
現代でも通じるセンスの良さ。
仲良しのポリニャック伯爵夫人(ローズ・バーン)の鮮やかなグリーンのドレスとの調和もきっと計算済みなのだろう。
2人並んでフェルセン伯爵を物色するところなんて、現代の女子そのもの(笑)
音楽のセンスも最高なので興味がある方はサウンドトラックも是非。

ファッションでマリーの苦しみや悲しみを表現している場面がいくつかある。
例えば、狩猟に出かけるルイ16世をマリーが見送るシーン。
陽の光が眩しい外の世界へ出て行くルイとは対象的に、薄暗い城内に戻って行くマリーの後ろ姿。
淡いペパーミントグリーンの繊細なドレスとは対象的な、黒と白のダイス模様の冷たい床とのコントラストで、彼女の孤独と寂しさを表現しているように見える。

この映画にはマリーの悲劇的な未来は描かれていない。
それらを示唆する表現だけでエンディングを迎える。