櫻子の勝手にシネマ

CLOSE/クロースの櫻子の勝手にシネマのレビュー・感想・評価

CLOSE/クロース(2022年製作の映画)
4.0
2023年公開のフランス映画。
第75回カンヌ国際映画祭(2022)でグランプリを受賞し、第95回アカデミー賞(2023)では国際長編映画賞にノミネートされた。
ベルギーのルーカス・ドン監督作品。

是枝監督の『怪物』的な作品かと思っていたら実際は違った。
LGBTQ+イシューというよりは“男性性”の方がテーマのようだ。

少年期特有の微妙な距離感が集団生活が始まる事によって認知が変わるというストーリー。
同じような経験をした人は意外と多いのではないだろうか。
女子の間では日常茶飯事で、特に小学生〜中学生の頃は当たり前というイメージがある。
2人だけのグループもあれば複数人のグループもあった。
登下校は当たり前、休み時間や移動教室、もちろんトイレに行く時も一緒。
交換日記をしている子達もいた。
今で言う“イツメン(いつも一緒にいるメンバー)”というヤツである。

女子の中では当たり前のことでも、2人だけでいつもべったりだと“レズ”と陰口を言われる事もある。
そういう子たちは見た目も似てる場合が多い。ヘアスタイルや体型、服装など。
おそろいのカチューシャやポーチ、文房具、ランドセルやリュックまでお揃いの子もいた。

それが男子になると“ホモ”や“オカマ”“ゲイ”と言われ、あっという間に他のクラスにまで拡散される。
ましてや、レオとレミのような関係性だったりしたら一発アウトだろう。
彼らは13歳ということもあり、はっきり自分が同性愛者なのか、それともただお互いのことが好きなだけなのか自覚しておらず、それこそが本作の最大の見所となっている。

2人共めちゃくちゃ美形だが、特にレオ役のエデン・ダンブリンがものすごく中性的で、どっちも行けそうな顔しているのが良い。
男にも女にもモテそうな魔性のフェロモンが今にも発動しそうで、観ているこちらまでクラクラしそうだ(笑)
10年後が楽しみな役者さんである。

物語のラストは悲劇が起こり、一気に話が動くという構成になっているので、それまでの出来事が全てクライマックスのためのフリとも言える。
その長いフリを楽しめるかどうかがこの作品の評価に繋がると思う。