ゆすり、たかり、スケこましと縦横無尽にふるまうチンピラコンビの極道ドラマ。
「まむしの兄弟」シリーズの第1弾。
中島貞夫が監督を務め、菅原文太と川地民夫がW主演、佐藤友美がヒロインを演じ、葉山良二、安藤昇らが共演。
3年ぶりに出所した政太郎(菅原文太)と弟分の勝次(川地民夫)は”まむしの兄弟”と呼ばれるチンピラで、12回の懲役刑の過去を持つ。パチンコ屋から預かった財布の金を自分の懐に入れ、高級フランス料理店で清楚な女性(佐藤友美)を見つけると、彼女が婦人警官とは知らずに盗んだ金で体を買おうとするなど、やりたい放題のゴロツキ。そんな折、神戸では山北組と瀧花組のやくざが対立していた。二人は山北組から瀧花組の代貸し(葉山良二)を殺す依頼を金で引き受ける…
「13回目の懲役は二人で一緒や」
まむしの兄弟と呼ばれるチンピラコンビは、金もないのに賭博をして言いがかりをつけたり、果物店のフルーツをタダ喰いし、15歳の娘が営む屋台のおでん代を踏み倒したり、5歳と7歳の幼児からイチゴのショートケーキを奪って泣かしたり、トルコ嬢の財布の金をすべて取り上げるなど、弱い者をいじめていた。
他人にケチをつけてはやりたい放題し、周囲からは「虫けら」や「野良犬」と揶揄されるほどの人間のクズでイライラさせられる。
やくざの証である金バッチの代わりに缶バッチを付け、弱い者に対しては虚勢を張るものの、強い者には睨まれただけで武者震いして何もできなくなるなど、雑魚ぶりがカッコ悪い。
前半は二人のあまりにも身勝手な振る舞いに付いて行けず、倫理観や社会治安が当時とは違うとはいえ、途中で見るのを止めようと思ったくらいヒドイ。当時はこのシリーズが大人気で広く受け入れられていたことを考えると、現代社会における日本のモラルの高さが感慨深い。
一方、終盤は生き方を変えてヤクザ組織に殴り込みをかけ、上手くまとめている。
雨で流される刺青が二人を象徴しており味わい深い。
「男は金バッチやない 根性や」
「兄弟 こんな死に方もあったんやな」
「これで次の懲役は一緒や」
2024.11 BS松竹東急で鑑賞(よる8銀座シネマ)