マーくんパパ

不毛地帯のマーくんパパのレビュー・感想・評価

不毛地帯(1976年製作の映画)
3.4
昭和30年代、2次防予算に絡む次期戦闘機種を巡るアメリカ航空会社、日本商社の暗躍と政治家の利権争いを描いた山崎豊子原作の映画化。フィクションですと言いながら殆どロッキード事件を彷彿させる内容。ほぼライバル商社に決定しかかっている劣勢を挽回する為に陸軍参謀部将校で11年間のシベリア抑留をした男(仲代)を会社に迎え入れる。男はもう2度と戦争に加担するような仕事に就くことは固辞するが、戦時中命を助け戦後抑留中には家族を助けられた陸士同期で現在自衛隊幕僚将官の男(丹波)との絆からこの利権争いに巻き込まれ、いつしか率先して策略を巡らし機密文書盗用や賄賂攻勢で形勢を逆転していく。国のため、同志のため、家族のため、会社のためを思いながらも犠牲者を出し泥沼に嵌まり込んでいく。敗れた相手方にも同じ思いがあるはずで正に不毛の構図。本件に限らず世界を股にかけて知略を尽くす日本商社の物語として観る分には面白い。